金沢大学 KUGS高大接続プログラム Liveセミナー
December 20, 2025

「どうすれば、深刻な格差を伝えつつも、ただ絶望させるのではなく、行動につなげられるのか?」――これが、今あなたの手元にあるこのツールキット〔「不平等なモノポリー」〕を作るきっかけとなった問いでした。社会的正義を求めるならば、私たちの社会に存在する分断を明るみに出さなければなりません。それによって、一部の人々が目を背けたがるような不公平さが浮き彫りになることもあるでしょう。例えば、裕福な人と貧しい人の間にある圧倒的な格差、今なお根強く残る性差別や人種差別などが挙げられます。しかし、ただ事実を伝えるだけでは、「どうせ何をしても変わらない」という諦めを助長してしまう恐れがあります。特に、すでに多くの困難に直面している人々が「こんなに不平等なら、自分には何の希望もない」と感じてしまえば、問題を解決するどころか、むしろ逆効果になってしまうのです。
不平等や差別について意識を高めることは、とても繊細な作業であり、私たちは常にバランスを取りながら進まなければなりません。「やる気さえあればできる」という単純な考え方に陥ると、失敗をすべて個人の責任に押し付けてしまうことになります。一方で、「不平等という仕組みによって、恵まれない人々は最初から報われない運命にある」と決めつけるのも避けなければなりません。こうした極端な考え方から抜け出すために、私たちのツールキットでは、ゲーム、討論、深い思考の機会を提供できるさまざまな教材を用意しています。話し合いを通じて、普段あまり考えないような問いに向き合うことができます。たとえば、「人生の成功とは何か?」「お金持ちとはどういうことか?」「私は恵まれているのか?それは誰と比べて?」といった問いです。
社会の中での役割に対する固定観念が、不平等を生み出す一因となっています。私たちは、「違う未来もあり得る」ということを伝えたいのです。統計の数字の裏には、実にさまざまな生き方があるということも。そして、私たちは周りから支えを受けることができるということも。みんなで力を合わせれば、社会のルールを変えることだって可能なのです。実際のところ、人は決して一人だけで成功したり、失敗したりするわけではありません。
不平等観測所(Observatoire des inégalités)コンスタンス・モニエ(ディレクター)
重要 | 「この場では安心して意見を言える」という感覚が何より大切です
禁止 | マウンティング行為
ルールがわからない、ルールはわかったが何も思い浮かばない人のための例示です。これに縛られる必要はまったくありません
注意事項
笑えない嘘はやめましょう
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このゲームを作ったそもそもの動機は、ひと握りの地主が借地人から徴収した地代で儲ける、社会制度の不平等を暴くところにあった。〔略〕現実の世界は辛くても、モノポリーで遊んでいるときは、通りをまるごと買い占める夢さえ見られる。このゲームが教えてくれるのは、最初の考案者が意図した点とはまったく逆で、「不動産を所有するのは賢い」ということだ。持てば持つほど、カネになる。とく に英語圏では、投資するなら家屋に勝るものはないことが、万人の認める真理になった(ファーガソン,ニーアル and 仙名 (2015), 320-322)。
ゲームは、各プレイヤーが異なる財産(金銭や財産)を持っている状態でスタートします。銀行係は、キャラクターカードに記入されたカテゴリーと性別に基づいて、各プレイヤーの財産を分配して下さい。










イベント(ÉVÈNEMENT)のマスに止まったら、カードを1枚引き、全文を声に出して読みます。その後、カードに書かれたアクションを実行してください。アクションを終えたら、そのカードを自分のそばに置き、次のプレイヤーに順番を譲って下さい。
再分配(REDISTRIBUTION):Aカテゴリのプレイヤーが「再分配(REDISTRIBUTION)」のマスに止まるか通過すると、Cカテゴリのプレイヤー全員にそれぞれ100ユーロを支払わなければなりません。ただし、電車を利用すればこのマスを避けることができます。Bカテゴリのプレイヤーは再分配に参加しません。また、「社会的上昇(Ascension sociale)」のイベントカードを持っているプレイヤーも同様です。

おめでとうございます!給料が上がりました!毎月のはじめに「DEBUT DU MOIS」のマスを通過するたびに、
このカードを保管してください。ゲームの間ずっと有効です。

あなたは勉強を再開し、卒業しました!給料を50ユーロ増やしてください。 ゲームの間ずっと有効です。

あなたの祖父が亡くなり、不動産を相続しました。



株式市場で多くのお金を失いました。


あなたはスポーツウェアのブランドを立ち上げ、成功しました! サイコロを振って、その結果を100倍してあなたの利益を計算してください。

新しい仕事を探しています。

駐車スペースを探しています。

社会運動により、カテゴリーCのキャラクターの給料が20ユーロ増加しました。ゲームの間ずっと有効です。


お子さんの学校用品を購入しなければなりません。

駅の窓口が閉まっており、インターネットでチケットを購入できません。「DEBUT DU MOIS」のマスを通過するまで、電車に乗ることができません。

フランスは世界の飢餓との戦いに参加することを決定しました。各プレイヤーは収入に応じて寄付する必要があります。

休暇に出かけるために200ユーロを支払って、もう一度プレイしてください。

あなたは病気です。たとえ経済的に厳しくても、治療費は社会保障によって全額カバーされます。このカードを読み終えたら、回復します。もう一度プレイしてください!

あなたの給料と同額のボーナスをすぐに受け取ります。失業中の場合は適用されません。一度限り有効です。

収入を補うために夏の仕事を探しています。

あなたの住居は狭すぎます。お子さんは宿題をするのに苦労しており、その影響が成績に表れています。

あなたはフランス国籍を持っておらず、EU外で生まれたため、仕事を拒否されました。次のターンはプレイできません。


あなたが黒人または北アフリカ人であれば、今月の初めのボックスを再び通過するまで、家を買うことはできなくなります。あなたが白人であれば、何も起こりません。新しいカードを引いてください。

あなたの住居は質が悪いです。修理のために200ユーロを支払ってください。 このルールは、茶色または水色の土地を所有している場合にのみ適用されます。

あなたはトランスジェンダーの女性の雇用を拒否しました。彼女は差別を訴えました。刑務所に直行し、銀行に100ユーロを支払って下さい。

もしあなたが女性なら、次のターンを掃除に費やすためにスキップしてください。
もしあなたが男性なら、もう一度プレイしてください。

あなたは同性愛者で、あなたの周囲の人々がそのことを、あなたの許可なく他の誰かによって知らされてしまいます。状況は全くうまくいかず、あなたの家族はあなたを拒絶します。その結果、あなたは自分の土地の一つを銀行に渡さなければならなくなります。


あなたは子供を持つことになります。もしあなたが女性なら、産休を取ります。次に月初めのマスを通るとき、給与の半分だけを受け取ります。
もしあなたが男性なら、もう一度プレイしてください。

もしあなたが女性なら、公共交通機関で男性からセクシャルハラスメントを受けます。あなたは告訴し、裁判に勝ちます:150ユーロを受け取ります。
もしあなたが男性なら、その場面を目撃して介入することを決めます。素晴らしい!

あなたは自分の同性愛者であることを周囲に告白することを決めます。うまくいきます!もう一度プレイしてください。

あなたは重大な自動車事故に遭い、生涯にわたって、身体的な障がいをもつことになります。障がいに関連する規則があなたに適用されます。もしすでに障がいを抱えている場合は、新しいカードを引いてください。ゲーム全体に適用されます。

あなたは数日間、同性愛者であることを理由に同僚からハラスメントを受けています。あなたの上司はあなたのお願いにもかかわらず、反応しません。あなたは疲れて落ち込んだ状態で家に帰ります。次のターンを進めてください。

あなたは再び、同僚の出身地を理由に侮辱します。彼は差別で告訴します。直ちに刑務所に行き、銀行に100ユーロを支払ってください。

あなたは宗教的なシンボルを身につけています。街で侮辱されます。次のターンを進めてください。

あなたは職を失いました。現在、あなたは失業中です。次回、月初めの時に通過する場合、通常の給料の代わりに、Aは200ユーロ、Bは100ユーロ、Cは50ユーロを受け取ります。

あなたにはゲームのバランスを再調整するチャンスがあります! キャラクター間の差を縮めるために、変更したい不公平なルールをみんなで選んでください。

市役所は困難な状況にある人々のために家賃を引き下げます。
「不平等なモノポリー」はグループ合同で行います
第1ラウンドと第2ラウンドでは、異なるカテゴリになるように調整します
イギリスの福祉制度は単身者への現金給付が薄く、家族給付・住宅給付に制度の重心がある。サッチャー政権期(1979–1990)以前は他のヨーロッパ諸国と同水準だったが、サッチャー政権において給付の位置付けが所得代替から最低限保障へと転換し、今日に至る
食料支援を利用する人数は支援を始めた2020年春には100人程度。それが現在では毎回700~900人に急増していると聞きました。
これまで路上の支援現場に来られるのは野宿やそれに近い状況の方が多かったと思います。コロナ禍と物価高騰をへて、最近は持ち家やアパートなど自宅がある方が多数を占めています。
日本は「生まれ」によって人生の可能性が制限されている「緩やかな身分社会」と言えますが、目には見えにくいです。米国だと、人種によって出身家庭のSES〔社会経済的地位〕が偏っているので、高学力クラスには白人と東アジア系などが多くなります。肌の色で可視化されるので課題として認識しやすい。一方、日本でもデータで見ると、偏差値70の高校の生徒は、高SES家庭出身者ばかりで、偏差値30の高校だと厳しい家庭環境の生徒が大半です(松岡亮二・教育社会学)
どのような選抜方式であったとしても「もともと有利な者が有利になりがち」という事実は否定できない。そこにおいて、「もともと不利な者の不利さ」をどう軽減し補っていくかが重要になる。減っていく次世代(減っていなくともだが)の誰もが、不当な烙印を貼られることがなく着実に人生を送ってゆけるための教育・選抜・仕事の制度設計が必要である(本田由紀・教育社会学)
米国のハーバード大は17日、2025年秋から、世帯年収20万ドル(約3千万円)以下の家庭の学生を対象に授業料を免除すると発表した。さらに、世帯年収10万ドル(約1500万円)以下の家庭の学生には、授業料だけでなく、食費や住居費などの費用も同大が負担するという。
同大のアラン・ガーバー学長は「(学費の水準を)より多くの人々にとって経済的に手の届くものにすることで、学生たちは多様な経験や視点に触れられるようになる。個人的な成長も促進されるだろう」と声明で述べている。
米国勢調査局によると、23年の米国の世帯年収の中央値は8万610ドル(約1200万円)だった。
あなたが貴族社会の上位層に生まれていれば、自分の特権は幸運のおかげであり、自分自身の手柄ではないとわかるだろう。一方、努力と才能によって能力主義社会の頂点に登り詰めたとすれば、自分の成功は受け継いだものではなく、自ら勝ち取ったものだという事実を誇りにできる。貴族社会における特権とは異なり、能力主義社会における成功は、自力で地位を手にしたという達成感をもたらす。…… 能力主義社会の最下層に落ち込めば、どうしてもこうした考えにとらわれてしまう。すなわち、自分の恵まれない状況は、少なくとも部分的には自ら招いたものであり、出世するための才能とやる気を十分に発揮できなかった結果なのだと。人びとの出世を可能にし、称賛する社会では、出世できない者は厳しい判決を宣告されるのである(サンデル,マイケル and 鬼澤忍(訳) (2021), 210-211)。
この状況〔無知のヴェール〕の本質的特徴には、いかなる者も社会における自分の地位、すなわち階級的立場ないし社会的地位を知らないということ、いかなる者も知性や強さといった自然的資産や能力の配分上の無形の財産について知らないということなどが含まれる。…… 正義の原理は、無知のヴェールの背後で選ばれるのである。このことが原理の選択の際に、誰もが自然のチャンスの結果や社会環境の偶然性によって利益ないし不利益を被らない、ということを保証するのである(ロールズ,ジョン and 川本隆史・福間聡・神島裕子(訳) (2010), 18)
しかし、この図のような分断社会日本の実像は、多くの人にはみえていません。それは、現代日本社会が、大学に行かずに20歳前後で社会に出た若い男性労働者たちを、直視していないからです。そもそも、わたしたちは彼らを呼ぶ名前をもっていません。名前のないもの ごとは、可視化することも、問題性を論じることもできません。〔原文改行〕現代日本は、学歴分断を言葉にすることをタブーとみなしている社会なのですから、社会集団としての彼らに、固有の呼び名がないのは当然といえば当然かもしれません。考えてみると、「非大卒」というのは、本来望まれる大学進学をしなかった人たち……という消極的な意味しかもたない言葉です。まさに、極めつきの「○○じゃないやつ」なのです。〔略〕レッグス(脚)という言葉には、日本社会を下支えしている人たちという含みもあります。〔225〕わたしたちが直面している分断とは、日本社会の1割強にあたるこのレッグスたちが、まさに「足切り」されようとしているという問題なのです(吉川 (2018), 221-225)。
ここで、現代日本の時代の流れのなかでの、レッグスたちの位置づけを論じ直しておきましょう。そうしなければ、レッグスという言葉は、ことによると、あらぬ方向に向かって一人歩きしかねません。〔原文改行〕まず、彼らが世代を超えて再生産される筋道をたどっておきます。〔原文改行〕現代日本社会の現役世代の夫婦の内訳は、大卒同類婚が約35%、非大卒同類婚が約35%で、合わせてほぼ7割、夫と妻の学歴が異なる夫婦は全体の約3割にとどまります。学歴の世代間関係をみると、レッグスたちの両親は、8割以上が同じ非大卒、しかもほとんどが非大卒同類婚であり、ここには強い学歴再生産傾向をみることができます。〔原文改行〕つまり、レッグスたちは、非大卒同類婚の両親を出自とし、非大卒学歴の世代間継承を経て、自らも非大卒同類婚をして、その子どもたちも再び非大卒層となる……という家族形成の流れのなかにあるのです。こうした学歴再生産の流れは、大卒層のほうでも同様にみられます(吉川 (2018), 225-226)。
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金沢大学に限らず、多くの大学は、高校生が高校生らしく、様々な学びに積極的かつ主体的に取り組んでもらいたいと考えています1。そして、それを評価するために、出願書類の一部に主体性に関する記入、記述を求めています
本参加証も、主体的な活動の一部として評価される可能性があります。参加を証明書としてお使い下さい

