#12 地方自治(1)
February 5, 2026
厚生労働省は2015年、学童保育運営の「従うべき基準」を施行。「放課後児童支援員」という公的な資格が設けられ、都道府県単位で資格研修を行っている。水野さんを含む3人はその講師を務めてきた。次世代の人材養成を託されるベテラン指導員である。3人の研修を受けたことのある大阪府内の指導員らは、「実践的な内容で役に立った」「あんなに経験がある人たちが雇い止めとは、あってはならないこと」と口をそろえる。
この際、述べておきたいことは、民主的な統治が国民の関心をもっとも引きつけ、そのなかから才能ある人材を生んできた国家は、スイスとアメリカである、という点である。とくに、アメリカの北部と西部の諸州は、田舎的な地方自治がもっとも発達した地域である。これらの例は、民主主義の最良の学校であり、それ成功させるための最良の保証は、地方自治の実践(local self-government)であるという格言の正しさを教えてくれる(ジェームズ・ブライス)
自由な人民の力が住まうのは地域共同体の中なのである。地域自治の制度が自由にとってもつ意味は、学問に対する小学校のそれに当たる。この制度によって自由は人民の手の届くところにおかれる。それによって人民は自由の平穏な行使の味を知り、自由の利用に慣れる。地域自治の制度なしでも国民は自由な政府をもつことはできる。しかし自由の精神はもてない(トクヴィル)
地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める(憲法第92条)。
でも、この〔『地方自治論:2つの自律性のはざまで』の〕「はしがき」には自治体研究における職員中心の為政者目線の雰囲気がいっぱいです。「中央政府に対する自律性が高められた結果、地方政府は地域社会に対する自律性が低くなるでしょう」なら、たぶんそのとおりなんだと思うのですが、実際の5頁には「なってしまうでしょう」と書かれています。もう、これは「国に対して自律性が高まってよかったけれど、住民から文句言われるようになって迷惑な話だな」という行政職員の気持ちが出ていると思います。こんなことなら、むしろ国に対する自律性が低いほうが楽だという嘆息すら聞こえます。本書の視点は、行政職員の発想と同じだと思います(北村 et al. (2018))。
そこ〔自治体若手職員向けセミナー〕で訴えたことは、地方分権改革とは、自治体の首長や職員や議員のためではなく、住民のまちづくりを活性化させるためにあるのだ、ということです。(原文改行)これまで実現した改革は、知事や市区町村長たちの数量範囲を広げたり議会職員の仕事をしやすくしたことを義務づけてりすることを狙ったものでした。この改革の成果を、住民が参加するまちづくりにつなげてほしいのです(読売新聞「時代の証言者 | 地方分権の夢 西尾勝 21 出てこい「考える職員」2014年10月11日」)。
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画をめぐって、防衛省の設計変更申請を承認するよう、斉藤鉄夫・国土交通相が県に出した是正指示は違法だとして、県は30日、総務省の第三者機関の国地方係争処理委員会(係争委)に審査を申し出た。
係争委は、国と地方自治体の行政上の争いを審査する機関。埋め立て予定地での軟弱地盤判明に伴う設計変更申請について、県は昨年11月に不承認とした。これに対し国交相は行政不服審査法に基づいて取り消す裁決をし、地方自治法に基づく是正指示を県に出していた。
県は「本来異なる制度である行政不服審査法に基づく裁決と、是正指示が不当に連結され、仕組みを濫用(らんよう)したもので違法」と主張している。玉城デニー知事は報道陣に「本来の法の制度や仕組みではなく、国が解釈を超えて従来とは違う法律の立て付け方をしている」と批判した。
従前より、地方から国に対しては、外国人集住都市会議や多文化共生推進協議会といった自治体連携の枠組み等を使って声を届けてきたが、国が多文化共生施策に主体的・戦略的に取り組むための根幹となる基本法の策定や組織の設置には至っていない。(原文改行)以上を踏まえ、全国知事会では、外国人の受入れと多文化共生社会の実現に国が責任を持って取り組むよう、強く要請する。
国と自治体はもう「上下・主従」でなく「対等・協力」な関係のはずだ。(原文改行)分権改革で、国が自治体を下部組織のように指揮して仕事をさせた機関委任事務を廃止し、国が本来果たすべき仕事を委ねる法定受託事務と、それ以外の自治体が担う自治事務に振り分けた。(原文改行)その際に、国による関与は「必要最小限」で、自治体の「自主性・自立性への配慮」が原則だと地方自治法に明記された。今回の答申はこの分権改革に明らかに逆行する」(「(社説)国の指示権拡充 自治への介入を危惧」朝日新聞、2023年11月27日)
非常時に国が自治体に対応を指示できるようにする地方自治法改正案が、参院総務委員会で可決された。本会議で成立する見通し。これまで個別の法律に規定がある場合に行使が限られていた権限を、個別法の根拠がない場合にも広げることが明記された」(朝日新聞「(社説)国の指示権拡大 自治の原則を侵す改悪だ」、2024年6月19日)。
牧原出「その場合、この社説が危惧するように、国が一方的に地方に義務づけることが「対等」という原則を破るものだとは私は言えないと考えています。「対等」であるからこそ、国が指示権を行使しても地方自治体がそれに従わない事態も十分ありうるのです。特にこうした指示権は迅速な行動を求める内容であることが通常でしょうから、地方が従わないことで指示が滞ること事態が国にとっては判断ミスとなり、政権にとっては評判を落とすことが明らかです。その意味では、地方が従うことが見越せるからこそ指示権を行使することになり、であるならば指示権を行使するまでもなく地方がその方針に沿って自発的に行動する可能性が高いとも言えます。合理的に指示権が行使されるとすれば、地方の側で決定できない状況があり、国の指示に従って行動するくらいしかできなくなるといった混乱した状況があるといったことが想定されます」(「(社説)国の指示権拡充 自治への介入を危惧朝日新聞、2023年11月27日)。
総務省が3日公表した、住民基本台帳に基づく2025年の人口移動報告で、東京都は転入者が転出者を6万5219人上回る「転入超過」だった。転入超過の人数は前年より1万4066人減った。転入超過となったのは東京都を含めて7都府県。40道府県で転出超過となった。東京一極集中の傾向が変わらず続いている(「 東京、続く一極集中 転入超過6万5219人 」朝日新聞、2026年2月4日)
日本全体の問題を自治体の問題であるかのようにすり替えて言われているのは根本的に間違っている
自民党と日本維新の会がまとめた与党税制改正大綱は、東京に本店を構えるインターネット銀行の利子から得られる都の税収を、都道府県間で調整する方針を決定。都に税収が集中する法人事業税の再配分の拡充は2027年度の税制改正で、新たに検討が決まった固定資産税への対応は27年度以降で、ともに「結論を得る」と明記した。
小池百合子都知事は「地方税制の根幹をゆがめ、地方自治を否定する地方税制度の改悪。あらゆる手段で対抗する」と批判した。利子課税は、総務省の第三者機関である国地方係争処理委員会への申し出も検討するという。