#7 政治制度と政治過程(1)
February 3, 2026
いわゆる「55年体制」の時期には、衆参両院の結論が一致する場合が多かった。近年では別の結論が出る「ねじれ国会」という現象が一時見られ、「ねじれ」は慎重審議につながる面もあった。しかし、最近では与党が両院で多数を占め、国会でじゅうぶんな審議がなされない状態も見られるようになった。
国会では、本会議のほかに予算員会などの常任委員会や特別委員会で実質的な審議が行われ、そこでの議決をへて本会議に上程され、最終的に議決される。
議会は、互いに対立する様々な利害を代表する大使たちの集まり〔集まりに傍点〕ではありません。もしそうであれば、議員たちはそれぞれが代理人や弁護人として、自らの利害を言い張ることになるでしょう。ですが、議会とは、一つの国のただ一つの利害、すなわち全体の利害について話し合うための場なのです。ですから議会を導くべきは、地域それぞれの目的や偏見ではなく、国全体の理性から生まれる、社会全体にとっての利益なのです。あなたが選ぶのは、確かに一人の議員です。ですが、あなたが一旦その人を選んだのなら、その人はもはやブリストルの議員なのではなく、〔英国〕議会の議員なのです。もし地元の選挙民が地元に特有の利害をもったり、社会全体(Community)の人びとの本当の利益に明らかに反するような、軽率な意見を形成したりした場合、その地域から選ばれた議員は、他のどの議員と同じように、それを実現しようとするあらゆる試みに断固として関与すべきではありません(ブリストル到着ならびに投票終了に際しての演説、1774)。
内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない(憲法第53条)。
いつ召集するのかは、内閣に広い裁量権があるというのが政府の立場だ。17年9月、当時の菅義偉官房長官は会見で、「いつ召集しなければならないというような期日について(憲法上の)規定はない。合理的な期間の中で召集をした」と述べている」。「注目したいのは、裁判官5人のうちの1人の反対(少数)意見だ。行政法学者出身の宇賀克也裁判官は、多数意見があまり触れなかった53条の詳しい意味を、論理的にわかりやすく語っている」。「提訴から5年余。結論は原告敗訴だったが、裁判を通じて53条の重要性が改めて認識された。死文化しかけた憲法53条後段に息を吹き込む作業だった。私たちの「不断の努力」がないと、憲法はただの紙切れになりかねない。少数派の尊重という民主主義の土台を損ねる政治を許していいのか。選挙や最高裁裁判官の国民審査の権利がある、私たちも問われている。
〔「妥」は穏やかの意〕両方の意見が対立している場合、互いに折れ合って穏やかに話をまとめること。〔広義では、相手の権力などに屈して、いいかげんなところで自分の主張をごまかすことを指す〕(『新明解国語辞典』)
an agreement made between two people or groups in which each side gives up some of the things they want so that both sides are happy at the end (Oxford Advanced Learner’s Dictionary)
委員会審議における事前質問通告
野党の質問通告が遅いという問題について
「2日前まで」なのか、「速やかな質問通告」なのか。本質的にはどちらでも良く、政治家がきちんと答弁できるかどうかが大切でしょう(池本大輔・イギリス政治)「質問通告なしの国会論戦、英国ができるワケは」(朝日新聞、2025年11月18日)。
法律制定の流れ
「一人の少女は相手に「お切りなさい、わたくしが選ぶから」あるいは「切らせて下さい、あなたに選ばせてあげるから」というであろう」(ハリントン(犬塚元訳)
‘Divide,’ says one to the other, ‘and I will choose, or let me divide, and you shall choose.’ (原文)
テレビやニュースでよく聞くのは衆議院のことばかりで、参議院の必要性やそもそも何をしているのか知らなかった。しかし参議院は衆議院に比べて任期が長く、解散もないため特定の分野を深く長期的に同じ視点で深堀することができる。また全国比例で選ばれる議員に専門家が多いことを知った。衆議院の優越によって予算案などは参議院の賛成がなくとも勝手に通ってしまうが、本来なら専門家の濃い審議を経て予算案を作るのが理想なのだと感じた(長谷川さん)。
衆議院では議員の持ち時間30分に対して、関係のない答弁なども込みでの30分になるので質疑が煮詰まらないが参議院では時間配分の仕方が違うので充実した質疑にすることができるという点で、衆参で質疑の仕方に違いがあるのが面白いなと感じた。衆議院は解散があるので民意を反映が反映されるといわれるが、片道方式の点についていえば、質疑の質という点で参議院の方が仕事をしているように感じる(小松原さん)。
今回の動画で、政治家による答弁が規定の時間内でしかすることができず、関係のない質問や話があった場合でも時間の延長はないということがわかった。その中で、時間の融通が効かないので議論が煮詰まらなかったり問題の解決に至らないことが多々あるということを知り、YouTubeなどで国会での答弁などを見る機会も最近では増え、揚げ足を取るような質問をして本題の議論が疎かになっている場面を目にする機会もあったので、こういった現状を変える必要があると考えた(梅田さん)。
衆議院では決算行政監視委員会が決算に関する審査を行っているのに対し、参議院では決算委員会と行政監視委員会が別々に設置されており、両者を明確に分けることで決算審査に力を入れていることが分かった。また、澤田記者に無駄だと感じさせるぐらい、決算に関する質疑が継続的に行われている点も印象に残った。しかし、参議院が決算に注力しているにもかかわらず、依然として無駄な支出が見られるのは、予算の最終決定権が衆議院にあるという制度的な要因と関係しているのではないかと考えた(亀崎さん)。
私がこの部分を選んだ理由は、これまで参議院が決算を重要視しているということを知らなかったからである。予算については衆議院の優越が認められるという印象が強く、過去にお金がどのように使われたかを厳しく検証する役割を担っている点は意外だった。決算委員会や決算行政監視委員会を通じて、行政を監視し、決算を見て無駄がなかったかを「チェッカー」として確認しているという部分に、参議院ならではの重要な役割を感じた(内坂さん)。
日本の内閣は矢面に立つことをせず(正確には、矢面に立つことができず)、国会審議の進行を与党に委ねてきた。そして、自民党政権下では、与党主導による法案成立を確実なものにするために、事前審査という便法が編み出されたのだった。〔民主党による〕政権交代後、事前審査は廃止されたが内閣の側に国会審議に介入する手段のないことは従来と同じで、結局は何らかのかたちで与党に頼るか、逆に与党議員の自由な行動を力で抑えつけるか、どちらかでなければ内閣法案の成立は覚束ない。とすれば、最も重要な改革は、内閣にある程度、国会審議への関与を認め、内閣を矢面に立たせることではなかろうか(大山 (2011, p. 145))。
与党による法案の事前審査制度がある中、野党は法案をほぼ修正できないのが現状です。(原文改行)そうなると、通常国会であれば150日という限られた日程の中で、どうしても日程闘争に力を注ぐことになり、審議は軽んじられ、通告通りの型にはまった答弁で形骸化していきます。少数与党の状況下、質問通告をめぐる今回の問題を通じ、国会審議のあり方そのものを深く議論する契機とすべきでしょう(質問通告なしの国会論戦、英国ができるワケは(朝日新聞、2025年11月18日))。
国会審議では、衆議院・参議院の双方で予算修正が行われるという、史上初めての予算プロセスとなった。(原文改行)衆議院においては、党を超えた政策協議や国会での審議の内容を踏まえ、与党によって、予算修正が提出され可決された(「特集 令和7年度 予算の国会修正について」(財務省広報誌『ファイナンス』令和7年5月号)。
歴史を紐解けば明らかなように、この構造は、日本の戦後政治に憲法問題がビルトインされていることに由来する。1950年代に憲法9条と現実の防衛政策の整合性が問われて以来、今日までエリートレベルではこの問題をめぐって論争が続いており、*その亀裂は、大政党有利の小選挙区制下でさえ政党を分立させるほどに深い**。そして*野党の結集が妨げられたことで、自民党は漁夫の利を得、政権の座にあり続けてきた**のである。その意味では、9条の存在こそが、逆説的にも、改憲を党是としてきた自民党の優位を支えてきたという言い方もできよう(境家 (2023, p. 291))。
再イデオロギー化」した政治状況では、憲法問題や防衛政策での意見の集約が各党に求められる。このことが野党の大同団結を難しくしているのである(境家 (2023, p. 286))。