Reading Seminar #18, Autumn/Winter 2025

エイブラハム・フレクスナー、ロベルト・ダイクラーフ『「役に立たない」科学が役に立つ』(東京大学出版会、2020)

Author
Affiliation

苅谷 千尋, PhD

金沢大学

Published

Sat, 21, Feb, 2026

Modified

Sat, 21, Feb, 2026

Ⅰ. イントロダクション

Importantお願い
  • 受講生のあいだでの意見交換、話し合う場合は、できるだけビデオオンにして下さい

1. 本日のスケジュール

前半

  • 13:00-13:20 趣旨説明と目標
  • 13:20-13:30 自己紹介
  • 13:30-14:30(60分) 意見の共有(全体)

休憩(15分)

後半

  • 14:45-16:15(90分) 紹介文の作成(グループ)
  • 16:15-17:00 まとめ
    • 高大接続プログラム「大学での学び」レポート / 感想 / アンケート
  • 17:00 終了

2. 自己紹介:苅谷

  • 専門:政治思想史
    • 18世紀イギリスの議会政治
    • 18世紀におけるレトリック受容
    • 18世紀における主権概念と国際法、帝国
  • 最近の興味関心
  • 講義:ビブリオバトル入門:ブクログ

3. 趣旨説明

  1. 高校生向けに書かれた良書があるものの、高校生に読まれていない

  2. 大学での学びをイメージしてもらいたい

    • ゼミでの輪読
      • Cf. 研究者(大学教員)も輪読している
      • 1冊の本、論文を全員で読み、内容を共有、評価する
    • Cf. ビブリオバトルとの違い「競争ではない」
    • Cf. 静かな流行「読書会」

  3. 正解のない学びを体験して欲しい

  • Cf. 現代国語
    • 論文として紹介されているものもエッセイに近い
    • 大学で求められるレポート、論文の形式を知る

4. 入試問題

共通テスト「国語」や「公共、倫理」で出題される文章題は、世相や世代にあったテーマを扱う文献から引用されることも多く、じっくり読むと意外に面白い。とはいえ問題を解く立場だと、問題文をのんびり読んでる場合ではないし、内容にちょっと興味を持ったとしても、試験後の忙しさにかまけて忘れてしまう受験生が少なくないのではないだろうか。

京大新聞では例年、その年の共テ問題文の出典から数冊をピックアップし、その書評を掲載している。本面をきっかけに出題文を思い出し、受験後にでも読んでみようか、と思ってもらえれば幸いだ。(編集部)

5. 学問

  • 大隅良典「細胞の謎を解く:科学「役立つ」だけで測れず」 (『読売新聞』2019年7月23日)

    でもこれまでわからなかったことを知る喜び、知的好奇心こそが科学の原動力で す。……役に立つという言葉が独り歩きして、役に立つとは何かを考えず、2、3年で何か応用できて製品になる、というイメージが若者の間にも広がっているように思えます。

    注目が集まる領域だけでなく、誰もがまだほとんど関心を示さないことに挑戦するのも、科学の進歩のためには必要です。それには色々なことに挑戦できるような広い裾野が何よりも大切なのです。

  • 情報×方法×問題意識あるいは知的好奇心

    • 情報や方法は勉強である程度どうにかできるが・・・

6. 目標:紹介文の作成

紹介文(合作)の作成

  1. 受講生全員の意見をできるだけ反映しよう
    • 共通点の発見
    • 納得できる意見の発見
  2. 高校生(または同世代)に向けたものにしよう
Note紹介文の公開
  • 紹介文は大学のウェブサイト(セミナー案内など)で紹介いたします

7. 紹介文:大栗博司『探究する精神:職業としての基礎科学』

本書は、物理学(素粒子論)を研究する世界レベルの研究者である大栗博司の手による自伝的著作である。自分は文系人間、理系人間と、自分で枠をはめてはいないだろうか。この本は、文理の垣根を疑い、それを超えようとする高校生や、自分の専門分野以外にも目を向け、自分の知見を増やすことで、いずれ社会に貢献したいと思っている高校生にとって、良きガイドブックになるだろう。

本書は、自分の好奇心や探究心にしたがって、好きなものを突き詰め、自由に研究していると、いずれ社会の役に立つ研究となることを教えてくれる。著者は研究に対して真剣でありながらも、とても楽しそうである。未知の研究を真剣に楽しむことで、幅広いものに応用できる価値ある研究につながる。価値ある発見や新しい視点は、一見、関係のないことの融合によって生まれることを、著者は自らの経験を通して、読者に説得的に語りかける。

本書の読みどころは、著者の強い好奇心と探究心を感じられるところだ。本書の第一部では、著者が影響を受けた本や考え方が書かれている。著者の専門は物理学なのだが、読んだ本は物理学や化学にとどまらず、数学や哲学、文学作品なども多い。一見、科学とは無関係に見えるこれらが、後半の第二部、第三部で著者の研究人生を振り返った時、意外なところで役に立っている。また、著者が物理学を志すことになったきっかけであり、研究人生を支えてきたのも、小学生の頃からの好奇心だ。まさに題名の通り、著者の人生は探究する精神によって作られてきた。

本書が教えてくれることは、興味を持ったことを突き詰める楽しさと幅広い知識の大切さだ。強い好奇心と探究心があってこそ、学問も知識も極められるのだ。進路選択の岐路に立つ高校生のうちに、ぜひ、本書を読み、好奇心と探究心の凄さや素晴らしさ、そして大切さを体験してほしい(766文字)。

Ⅱ. 自己紹介

自己紹介

  1. 名前、出身地、学年
  2. 本セミナーに参加した理由
  3. 好きな本、お勧めの本
    • なければ、好きな科目など、好きなことなら何でも

Ⅲ. 著書情報

今回のテーマ:エイブラハム・フレクスナー、ロベルト・ダイクラーフ『「役に立たない」科学が役に立つ』

出版社の案内

好奇心と想像力から発見された「役に立たない」科学こそ、私たちの生活に「役に立つ」革新をもたらす――アインシュタインをはじめ多くのノーベル賞受賞者を輩出しているプリンストン高等研究所の創立者と現所長による、研究をとりまく社会に警鐘を鳴らす刺激的なエッセイ。「有用性」という言葉を捨てて、人間の精神を解放せよ。(出版社の案内

著者

  • エイブラハム・フレクスナー(1866-1959)
    • アメリカの教育者
    • 医療および高等教育の改革に努める
      • 『アメリカの大学』(The American College)出版(1908年)
      • プリンストン高等研究所を設立(1930年)
  • ロベルト・ダイクラーフ(1960-)
    • 理論物理学・数理物理学者
      • 素粒子理論(超弦理論)

関連情報

Ⅳ. 意見の共有

1. 意見の共有

別紙「事前課題一覧リスト」に沿って進めます

  1. 著者がもっとも主張したい事柄
  2. あなたが重要だと考えた箇所
  3. 著者の主張のうち、理解できなかった点、納得できない点、よくわからなかった点
  4. この本の感想

2. フリーディスカッション

  • グループワーク
    • 受講生主導で思ったことを自由に話しあってみましょう
    • 事前課題一覧リストを参考にしてもいいし、しなくてもかまいません

Ⅴ. 紹介文の作成

1. 紹介文の内容

  • 字数:400-800
  • 書いて欲しいこと
    1. どんな人に読んで欲しいか(向いているか)
    2. 著者の主たる意図
    3. 読みどころはどこか
    4. 内容の要約
    5. +α(メッセージなど)
Tipまとめ方の注意点
  • 順序はこの通りでなくてかまいません
  • この通りでない方がよいでしょう

2. 紹介文のポイント

⑴ 主語

  • 著者(フレクスナー、ダイクラーフ)の主張と、解釈者(セミナー参加者)の主張を書き分ける
  • 主語を明示的に書く
    • 著者:著者は、ダイクラーフ(敬称不要)は、本書は
    • 解釈者:文脈上、自明の場合は、私たち、私たち高校生は、主語は明示しなくてもよい
      • 読み手が迷う可能性があれば、明示しましょう

      例:行政学者の水口は、「何でも説明できるものは何も説明していないのと同じことである」と述べ、森の定義の曖昧さを批判する。

⑵ 引用

  • 直接引用
    • 特に重要なところを抜き出す
    • 「」(一重括弧で囲む・アカデミックな決まり。論文、レポートではページ数の記載が必要だが、今回は不要)
  • 間接引用
    • ポイントを自分の言葉で言い直すこと(同上)

⑶ 読みどころ(解釈)の提示

  • 著者の考えではなく、セミナー参加者の考え、意見を示す

⑷ 紹介文(レポート)に相応しい動詞、形容詞の選択

  • × 思う(特に思うの多用は厳禁)/ すごい
  • ○ だろう / 優れた

グループワーク

  • 紹介文
    1. 何を書くか
    2. 役割分担
  • 提出先:
    • 手書き➡ 担当教員に渡す
    • 文字入力➡ ZOOM「チャット」

Ⅵ. まとめ

1. 高大接続プログラム「大学での学び」レポート

  • このプログラムは金沢大学KUGS高大接続プログラム(大学での学び)の対象です
    • KUGS高大接続プログラム(の修了)
    • ➡ 「KUGS特別入試」の出願資格要件
  • 締め切り:開催日(本日)から 1か月以内
  • 特別入試に興味がある方は公式サイトをご覧下さい

課題内容

  • 題名:「あなたが受講した個別プログラム名」
  • 本文:
    1. 「受講した個別プログラムの要約」
    2. 「受講して気づいた課題(問題)」
    3. 「その課題(問題)を解決するために必要と思われる方策」について,あなた自身の考えを根拠に基づき具体的に記してください。

注意事項

  • 要約はこのセミナーに参加していない者が読んでもわかるように書こう
  • 感想文にならないように注意しましょう
  • 受講して気付いた課題を明確に書けるかどうかが鍵です
  • 課題は内容にかかわる社会的な事柄(自分の事柄ではない)にしましょう

高大接続プログラム フローチャート

フローチャート

3. セミナー後アンケート

  • 提出先:Google Forms
  • 締め切り:明日(2月21日(日)23時59分)

参考文献

フレクスナー,エイブラハム・ダイクラーフ,ロベルト・初田哲男監訳 (2020) 『「役に立たない」科学が役に立つ』, 東京大学出版会.