Reading Seminar #19, Autumn/Winter 2025
岩井淳『ヨーロッパ近世史』(ちくま新書、2024年)


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読書が嫌いだというなら、それはまだ自分に合った本に出会っていないだけだ
Ⅰ. イントロダクション
- 受講生のあいだでの意見交換、話し合う場合は、できるだけビデオオンにして下さい
1. 本日のスケジュール
前半
- 13:00-13:20 趣旨説明と目標
- 13:20-13:30 自己紹介
- 13:30-14:30(60分) 意見の共有(全体)
休憩(15分)
後半
- 14:45-16:15(90分) 紹介文の作成(グループ)
- 16:15-17:00 まとめ
- 高大接続プログラム「大学での学び」レポート / 感想 / アンケート
- 17:00 終了
2. 自己紹介:苅谷
- 専門:政治思想史
- 18世紀イギリスの議会政治
- 18世紀におけるレトリック受容
- 18世紀における主権概念と国際法、帝国
- 最近の興味関心
- データの分析と可視化(統計言語Rとquarto)
- 講義:ビブリオバトル入門:ブクログ
3. 趣旨説明
- 高校生向けに書かれた良書があるものの、高校生に読まれていない
- 大学での学びをイメージしてもらいたい
- ゼミでの輪読
- Cf. 研究者(大学教員)も輪読している
- 1冊の本、論文を全員で読み、内容を共有、評価する
- Cf. ビブリオバトルとの違い「競争ではない」
- Cf. 静かな流行「読書会」1
- ゼミでの輪読
- 正解のない学びを体験して欲しい
- Cf. 現代国語
- 論文として紹介されているものもエッセイに近い
- 大学で求められるレポート、論文の形式を知る
- Cf. 現代国語
1 「わたし自身が高校生だったころのことを考えても、本を読んで感想を言えと迫られて、いったいどれほどのことが言えただろうか。本からなにかを読みとり、それを切り取ってきて言葉にできるかどうかは、ある程度、人生経験の長さに比例している。だから、中高生にとっての読書会はあくまで「お試し」であってかまわない。これから先、さまざまな経験をしたあと、またいつかどこかで読書会に参加してくれればそれでいい」(向井和美 (2022))。
4. 入試問題
- 京都大学新聞「解かずに読む共通テスト書評2025」
共通テスト「国語」や「公共、倫理」で出題される文章題は、世相や世代にあったテーマを扱う文献から引用されることも多く、じっくり読むと意外に面白い。とはいえ問題を解く立場だと、問題文をのんびり読んでる場合ではないし、内容にちょっと興味を持ったとしても、試験後の忙しさにかまけて忘れてしまう受験生が少なくないのではないだろうか。
京大新聞では例年、その年の共テ問題文の出典から数冊をピックアップし、その書評を掲載している。本面をきっかけに出題文を思い出し、受験後にでも読んでみようか、と思ってもらえれば幸いだ。(編集部)
- 国語:高岡文章(観光社会学者)「観光は「見る」ことである/ない:観光のまなざし」をめぐって」(『〈みる/みられる〉のメディア論』所収)
- 国語:蜂飼耳「繭の遊戯」(『極上掌篇小説』所収)
-
公共、倫理:ミシェル・アンリ(哲学者)『見えないものを見るカンディンスキー論』
- Cf. 東進ハイスクール解答・解説
- Cf. 京都大学新聞「解かずに読む共通テスト書評2024」
5. 学問
-
大隅良典「細胞の謎を解く:科学「役立つ」だけで測れず」 (『読売新聞』2019年7月23日)
でもこれまでわからなかったことを知る喜び、知的好奇心こそが科学の原動力で す。……役に立つという言葉が独り歩きして、役に立つとは何かを考えず、2、3年で何か応用できて製品になる、というイメージが若者の間にも広がっているように思えます。
注目が集まる領域だけでなく、誰もがまだほとんど関心を示さないことに挑戦するのも、科学の進歩のためには必要です。それには色々なことに挑戦できるような広い裾野が何よりも大切なのです。
-
情報×方法×問題意識あるいは知的好奇心
- 情報や方法は勉強である程度どうにかできるが・・・
6. 目標:紹介文の作成
紹介文(合作)の作成
- 受講生全員の意見をできるだけ反映しよう
- 共通点の発見
- 納得できる意見の発見
- 高校生(または同世代)に向けたものにしよう
- 紹介文は大学のウェブサイト(セミナー案内など)で紹介いたします
紹介文:小野寺拓也・田野大輔 『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』(岩波ブックレット、2023年)
あなたはナチスが良いことをしたと思えるだろうか。
本書は、ナチスが行った政策に着目し、「ナチスは良いことをしたのか」という問いを歴史的事実に基づいて検証する著作である。近年、X (旧Twitter)などで、ナチスの経済政策の成果を強調する動きがあるが、本書の分析によれば、その経済政策は戦争への準備、独裁体制の確立と密接な関係にあった。本書は、このような分析を通して浮びあがった、良い面、悪い面を冷静に見つめて、その歴史から何を学ぶかを問うものである。
本書のスタイルは、まず、一部の論者がおこなっている、ナチスの政策を肯定的に評価する意見を紹介したうえで、歴史的事実にもとづいて、ナチスの暴力性や人権侵害などの実態を次々に暴いていく、というものである。このような前半(著者は<意見>という)と後半(著者は<解釈>と呼ぶ)のギャップを感じられる部分がとても痛快だ。
本書はナチスの事例を通して物事を多角的にとらえる重要性を説く。「斬新」な主張に魅力を感じる人は「斬新」という一面的な評価だけで、その中味を問わない。著者たちは、ナチスだけでなく、そのような「「中二病」的な反抗」自体に批判の目を向けるのである。断片的なく事実>からく意見>へと飛躍するのではなく、本質を見誤らないように、過去の研究から謙虚に学ぶ姿勢を大切にしたい(554文字)。
- この他の紹介文はこちら
Ⅱ. 自己紹介
自己紹介
- 名前、出身地、学年
- 本セミナーに参加した理由
- 好きな本、お勧めの本
- なければ、好きな科目など、好きなことなら何でも
Ⅲ. 著書情報
今回のテーマ:岩井淳『ヨーロッパ近世史』
出版社の案内
ヨーロッパ史において「近世」とはいかなる時代か。宗教改革からフランス革命にかけてのこの時期は、ときに「近代」の準備段階とみなされ、ときに「長い中世」の一部とされてきた。だが近年、複合国家論などが提唱されるなかで、中世とも近代とも異なる独自の時代として近世を位置づける動きが広がっている。では、その独自性とは何か。近世を多様な地域が複雑に絡み合う歴史的空間と捉え、人やモノのグローバルな移動に注目することで、これまで教科書などでは十分に語られてこなかったその複雑なうねりをダイナミックに描き出す(出版社の案内)。
著者
- 岩井淳(1956-)
- 歴史学者(イギリス近世・近代史)
- 研究テーマ:千年王国;複合国家;歴史教育
- 主著:
- 『千年王国を夢見た革命:17世紀英米のピューリタン』講談社選書メチエ、1995年
- 岩井淳・指昭博編著『イギリス史の新潮流:修正主義の近世史』彩流社、2000年
- 岩井淳・道重一郎編著『複合国家イギリスの地域と紐帯』刀水書房、2022年
関連情報
- 通説と新説
- 通説に対する批判的継承を歴史学では「修正主義」(revisionism)と呼ぶ
- Cf. 政治的な文脈での「歴史修正主義」とは異なる
- 通説に対する批判的継承を歴史学では「修正主義」(revisionism)と呼ぶ
- 歴史教育の見直し
- 暗記教育批判
- 思考力型学習と史料読解
- 高大連携歴史教育研究会
- 研究の成果が初等中等教育に反映されないもどかしさ
- 相対化(も批判も)されない市民革命史観と国民国家史観
- 市民革命史観:近代ヨーロッパの「市民革命」を近現代国家の礎とする
- 国民国家史観:19世紀に生まれた国民像や国家像を、19世紀以前の史料解釈に用いる
- 相対化(も批判も)されない市民革命史観と国民国家史観
- 史料とナラティブ(物語)
- 史料は語らない。ナラティブのなかで史料は語りを得る(後述)
- ナラティブ=完成した、完成させようとするパズル
- 史料=パズルのピース
- 教科書が特に明示せずに語る歴史観
- 市民革命史観
- 「市民」概念そのものが曖昧
- 悪い国王(王女)・貴族 vs. 善良な「市民」
- 国民国家史観
- 多様な人びと、多様な地域の存在を軽視
- 「日本人は昔からこうだった」という確認作業になりがち
- どちらも、一つのナラティブに過ぎない
- 市民革命史観
- 史料は語らない。ナラティブのなかで史料は語りを得る(後述)
2 「そこで私たちは,「思考力型」の学習をおこなってきた受験生が瑣末な知識の暗記に振り回されることなく,高校3年間の授業の中で学んだ経験をもとに,大学入試に臨むことのできる環境が整備されることを期待します。具体的には,知識を問う出題をおこなう場合,できるだけ多くの日本史探究や世界史探究の教科書本文に書かれている用語や人名に限定することが目安となるでしょう。そして日本史探究と世界史探究は,旧課程である日本史Bや世界史Bと比べて標準単位数が4単位から3単位に減らされているため,知識の精選が求められていることに特段の配慮をお願いしたいと思います」(私立大学における歴史総合・日本史探究/世界史探究の入試問題のあり方に関する提言)。
補足情報
3 「第一に、歴史的事実は「純粋なまま」でわたしたちのところにはやって来ない。なぜなら歴史的事実は純粋な形態では存在しないし、存在しえないからです。**歴史的事実はつねに記録者の頭を通過して屈折しています*。そこから導かれるのですが、**歴史書を手にして最初の関心を向けるべきは、その書物のなかの事実よりも、その書物を著した歴史家その人*なのです」(カー,E. H.・近藤和彦(訳) (2022))。
4 「そもそも私は、幼少の頃から交通の媒介となる「道」についてたいへん興味があった。ことに、外に出たくともままならない私の立場では、たとえ赤坂御用地の中を歩くにしても、道を通ることにより、今までまったく知らない世界に旅立つことができたわけである。私にとって、道はいわば未知の世界と自分とを結びつける貴重な役割を担っていたといえよう」(徳仁親王 (2023))。
Ⅳ. 意見の共有
1. 意見の共有
別紙「事前課題一覧リスト」に沿って進めます
- 著者がもっとも主張したい事柄
- あなたが重要だと考えた箇所
- 著者の主張のうち、理解できなかった点、納得できない点、よくわからなかった点
- この本の感想
2. フリーディスカッション
- グループワーク
- 受講生主導で思ったことを自由に話しあってみましょう
- 事前課題一覧リストを参考にしてもいいし、しなくてもかまいません
Ⅴ. 紹介文の作成
1. 紹介文の内容
- 字数:400-800
- 書いて欲しいこと
- どんな人に読んで欲しいか(向いているか)
- 著者の主たる意図
- 読みどころはどこか
- 内容の要約
- +α(メッセージなど)
全員で一つの紹介文を作成します(一人ずつ紹介文案を作るのではありません)
- 順序はこの通りでなくてかまいません
- この通りでない方がよいでしょう
2. 紹介文のポイント
⑴ 主語
- 著者(岩井)の主張と、解釈者(セミナー参加者)の主張を書き分ける
- 主語を明示的に書く
- 著者:著者は、岩井(敬称不要)は、本書は
- 解釈者:文脈上、自明の場合は、私たち、私たち高校生は、主語は明示しなくてもよい
- 読み手が迷う可能性があれば、明示しましょう
例:行政学者の水口は、「何でも説明できるものは何も説明していないのと同じことである」と述べ、森の定義の曖昧さを批判する。
⑵ 引用
- 直接引用
- 特に重要なところを抜き出す
- 「」(一重括弧で囲む・アカデミックな決まり。論文、レポートではページ数の記載が必要だが、今回は不要)
- 間接引用
- ポイントを自分の言葉で言い直すこと(同上)
⑶ 読みどころ(解釈)の提示
- 著者の考えではなく、セミナー参加者の考え、意見を示す
⑷ 紹介文(レポート)に相応しい動詞、形容詞の選択
- × 思う(特に思うの多用は厳禁)/ すごい
- ○ だろう / 優れた
グループワーク
- 紹介文
- 何を書くか
- 役割分担
- 提出先:
- 手書き ➡ 担当教員に渡す
- 文字入力 ➡ kariyach@staff.kanazawa-u.ac.jpにメール
Ⅵ. まとめ
1. 高大接続プログラム「大学での学び」レポート
- このプログラムは金沢大学KUGS高大接続プログラム(大学での学び)の対象です
- KUGS高大接続プログラム(の修了)
- ➡ 「KUGS特別入試」の出願資格要件
- 締め切り:開催日(本日)から 1か月以内
- 特別入試に興味がある方は公式サイトをご覧下さい
- レポート評価の返却に最大で約1ヶ月半かかります。レポート提出期限は1か月以内ですが、早く提出した方が早く返却されます
課題内容
- 題名:「あなたが受講した個別プログラム名」
-
本文:
- 「受講した個別プログラムの要約」
- 「受講して気づいた課題(問題)」
- 「その課題(問題)を解決するために必要と思われる方策」について,あなた自身の考えを根拠に基づき具体的に記してください。
注意事項
- 要約はこのセミナーに参加していない者が読んでもわかるように書こう
- 感想文にならないように注意しましょう
- 受講して気付いた課題を明確に書けるかどうかが鍵です
- 課題は内容にかかわる社会的な事柄(自分の事柄ではない)にしましょう
高大接続プログラム フローチャート

3. セミナー後アンケート
- 提出先:Google Forms
- 締め切り:明日(3月1日(日)23時59分)
アンケートURLは、参加証を添付するためのメールにも記載します