Reading Seminar #14 Summer 2025
2025年6月14日
お願い
共通テスト「国語」や「公共、倫理」で出題される文章題は、世相や世代にあったテーマを扱う文献から引用されることも多く、じっくり読むと意外に面白い。とはいえ問題を解く立場だと、問題文をのんびり読んでる場合ではないし、内容にちょっと興味を持ったとしても、試験後の忙しさにかまけて忘れてしまう受験生が少なくないのではないだろうか。
京大新聞では例年、その年の共テ問題文の出典から数冊をピックアップし、その書評を掲載している。本面をきっかけに出題文を思い出し、受験後にでも読んでみようか、と思ってもらえれば幸いだ。(編集部)
大隅良典「細胞の謎を解く:科学「役立つ」だけで測れず」 (『読売新聞』2019年7月23日)
でもこれまでわからなかったことを知る喜び、知的好奇心こそが科学の原動力で す。……役に立つという言葉が独り歩きして、役に立つとは何かを考えず、2、3年で何か応用できて製品になる、というイメージが若者の間にも広がっているように思えます。
注目が集まる領域だけでなく、誰もがまだほとんど関心を示さないことに挑戦するのも、科学の進歩のためには必要です。それには色々なことに挑戦できるような広い裾野が何よりも大切なのです。
情報×方法×問題意識あるいは知的好奇心
紹介文は大学のウェブサイト(セミナー案内など)で紹介いたします
あなたは帝王切開なんてだめ、赤ちゃんには母乳が一番、子どもが三才になるまではお母さんが尽きっきりで子育てをしないとダメ、などといった偏見やうわさ話を耳にしたことがあるだろうか。
本書は、こういった事柄をデータや研究を通して、科学的に説明している。また、筆者は人間の行動を理解し、幸せにつなげるための枠組みである経済学を通して、事案について考え、家族の幸せというものの真実をとらえようとしている。本書は、家族の成立から子育てまで各分野について章立てされ、データや科学的根拠を基に「幸せとは何か」を問うている。
客観的な視点から著されているため、現時点で自分の家庭を持っていない高校生が、本書を読み進めながら、理想の家庭像を考えられるところが良い。また、子育ての経験がない高校生であってもデータから納得できる点が多い点も、本書のよい点である。もちろん、結婚していて子供がいない夫婦や結婚する予定のある人たちにとっても、本書は良書である。というのは、子育ての方針や家族のあり方を、決めておくことで子供が産まれた後などで意見の違いから二人の関係が悪くなるのが減ると思われるからだ。
物事と向き合う時は「事実」と「神話」を見分けることが大事だということを、本書は伝えている。データ分析などの結果には大きな説得力があるのだ。データ分析にはこのような利点があるが、近年、日本の研究のデータ不足と質の低下のため、適切な統計調査が難しくなっていると著者は言う。「調査を依頼されるようなことがあれば、ぜひ、協力して欲しい」という著者のメッセージに応えていきたい。
医師の思考力と技能、器具の進化、そして患者の生命力――。 手術には3つの要素が組み合わさっていた!! 消化器外科医が考える「最高のオペ」とは?
手術を受ける人も、外科医を目指す人も、まずはこの1冊から!
いしざわ・たけあき 大阪公立大学 大学院医学研究科 肝胆膵外科学教授。 1973年東京都生まれ。千葉大学医学部卒業後、肝臓手術の権威である幕内雅敏教授の手術を学ぶべく東京大学医学部肝胆膵外科に入局(同大学院修了、医学博士)。パリで腹腔鏡手術の奇才ブリス・ガイエ教授に師事。がん研究会有明病院などを経て、2022年4月より現職。開腹手術からロボット手術まで「ライセンスだらけ」の外科医として日常診療にあたる一方、「蛍光ガイド手術」の開発と普及をライフワークとする。編著書に、『手術を受ける前に読む本 これだけは知っておきたい基礎知識』(講談社ブルーバックス・佐久間哲志名義)、『完全図解 病院のしくみ』(講談社健康ライブラリー・編著)、『Gayet腹腔鏡下肝胆膵手術 ムービーでみる局所解剖』(南江堂・共著)、『がん研 肝胆膵外科ビデオワークショップ ことばと動画で魅せる外科の基本・こだわりの手技』(メジカルビュー社・編著)、『術中蛍光イメージング実践ガイド ラボからオペ室まで』(メジカルビュー社・日本蛍光ガイド手術研究会監修)など。
今後期待される治療とはどのようなものか、肝臓外科治療のさらなる発展には何が必要か、こういった質問を受ける機会は非常に多いものですが、私は決まって次のように答えています。
「そんなものがわかっていたら、今すぐ俺がやるよ!」
私にとって、「これから」とは、期待をして到来を待つものではなく、自ら作るものです。自分の頭で考え、自分の手でやり遂げる、それが私のスタンスであり、事実そのようにして今日まで肝臓外科の道を作ってきました。治療向上のために今何ができるのか、常に頭を動かし続け、今後も自身の手で肝疾患の治療を少しでも進歩させ続けるために努力していきます。
まとめ方の注意点
例:行政学者の水口は、「何でも説明できるものは何も説明していないのと同じことである」と述べ、森の定義の曖昧さを批判する。
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