エイブラハム・フレクスナー、ロベルト・ダイクラーフ『「役に立たない」科学が役に立つ』(東京大学出版会、2020)
February 21, 2026
お願い
共通テスト「国語」や「公共、倫理」で出題される文章題は、世相や世代にあったテーマを扱う文献から引用されることも多く、じっくり読むと意外に面白い。とはいえ問題を解く立場だと、問題文をのんびり読んでる場合ではないし、内容にちょっと興味を持ったとしても、試験後の忙しさにかまけて忘れてしまう受験生が少なくないのではないだろうか。
京大新聞では例年、その年の共テ問題文の出典から数冊をピックアップし、その書評を掲載している。本面をきっかけに出題文を思い出し、受験後にでも読んでみようか、と思ってもらえれば幸いだ。(編集部)
国語:高岡文章(観光社会学者)「観光は「見る」ことである/ない:観光のまなざし」をめぐって」(『〈みる/みられる〉のメディア論』所収)
国語:蜂飼耳「繭の遊戯」(『極上掌篇小説』所収)
公共、倫理:ミシェル・アンリ(哲学者)『見えないものを見るカンディンスキー論』
Cf. 東進ハイスクール 解答・解説
Cf. 京都大学新聞「解かずに読む共通テスト書評2024」
大隅良典「細胞の謎を解く:科学「役立つ」だけで測れず」 (『読売新聞』2019年7月23日)
でもこれまでわからなかったことを知る喜び、知的好奇心こそが科学の原動力で す。……役に立つという言葉が独り歩きして、役に立つとは何かを考えず、2、3年で何か応用できて製品になる、というイメージが若者の間にも広がっているように思えます。
注目が集まる領域だけでなく、誰もがまだほとんど関心を示さないことに挑戦するのも、科学の進歩のためには必要です。それには色々なことに挑戦できるような広い裾野が何よりも大切なのです。
情報×方法×問題意識あるいは知的好奇心
紹介文は大学のウェブサイト(セミナー案内など)で紹介いたします
本書は、物理学(素粒子論)を研究する世界レベルの研究者である大栗博司の手による自伝的著作である。自分は文系人間、理系人間と、自分で枠をはめてはいないだろうか。この本は、文理の垣根を疑い、それを超えようとする高校生や、自分の専門分野以外にも目を向け、自分の知見を増やすことで、いずれ社会に貢献したいと思っている高校生にとって、良きガイドブックになるだろう。
本書は、自分の好奇心や探究心にしたがって、好きなものを突き詰め、自由に研究していると、いずれ社会の役に立つ研究となることを教えてくれる。著者は研究に対して真剣でありながらも、とても楽しそうである。未知の研究を真剣に楽しむことで、幅広いものに応用できる価値ある研究につながる。価値ある発見や新しい視点は、一見、関係のないことの融合によって生まれることを、著者は自らの経験を通して、読者に説得的に語りかける。
本書の読みどころは、著者の強い好奇心と探究心を感じられるところだ。本書の第一部では、著者が影響を受けた本や考え方が書かれている。著者の専門は物理学なのだが、読んだ本は物理学や化学にとどまらず、数学や哲学、文学作品なども多い。一見、科学とは無関係に見えるこれらが、後半の第二部、第三部で著者の研究人生を振り返った時、意外なところで役に立っている。また、著者が物理学を志すことになったきっかけであり、研究人生を支えてきたのも、小学生の頃からの好奇心だ。まさに題名の通り、著者の人生は探究する精神によって作られてきた。
本書が教えてくれることは、興味を持ったことを突き詰める楽しさと幅広い知識の大切さだ。強い好奇心と探究心があってこそ、学問も知識も極められるのだ。進路選択の岐路に立つ高校生のうちに、ぜひ、本書を読み、好奇心と探究心の凄さや素晴らしさ、そして大切さを体験してほしい(766文字)。
好奇心と想像力から発見された「役に立たない」科学こそ、私たちの生活に「役に立つ」革新をもたらす――アインシュタインをはじめ多くのノーベル賞受賞者を輩出しているプリンストン高等研究所の創立者と現所長による、研究をとりまく社会に警鐘を鳴らす刺激的なエッセイ。「有用性」という言葉を捨てて、人間の精神を解放せよ。(出版社の案内)


底無しの暗い空の奥から、数知れぬ白い粉が後から後からと無限に続いて落ちてくる。(中略)何時までも舞い落ちて来る雪を仰いでいるといつの間にか自分の身体が静かに空へ浮き上がって行くような錯覚が起きて来る。
これほど美しいものが文字通り無数にあって、しかも殆ど誰の目にも止まらずに消えていくのが勿体ないような気がした。

戦後の日本の経済的困難にもかかわらず、数年間にわたり、彼は雪被覆の融解の加速、稲作における水温上昇、洪水の調査、雪測量といった応用物理学の研究プロジェクトに熱心に取り組んでいた。これらの研究を通じて、彼は日本における水資源の効率的な利用に関する理解を深めることに大いに貢献しました。しかし、彼は雪の結晶に対する主な関心を怠ることはしませんでした(Higashi (1962))
まとめ方の注意点
例:行政学者の水口は、「何でも説明できるものは何も説明していないのと同じことである」と述べ、森の定義の曖昧さを批判する。
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