金沢大学 高大接続リーディングセミナー #22
May 30, 2026
お願い
わたし自身が高校生だったころのことを考えても、本を読んで感想を言えと迫られて、いったいどれほどのことが言えただろうか。本からなにかを読みとり、それを切り取ってきて言葉にできるかどうかは、ある程度、人生経験の長さに比例している。だから、中高生にとっての読書会はあくまで「お試し」であってかまわない。これから先、さまざまな経験をしたあと、またいつかどこかで読書会に参加してくれればそれでいい(向井 (2022))。
共通テスト「国語」や「公共、倫理」で出題される文章は、世相や世代にあったテーマを扱う文献から引用されることも多く、じっくり読むと意外に面白い。とはいえ問題を解く立場だと、問題文をのんびり読んでる場合ではないし、内容にちょっと興味を持ったとしても、試験後の忙しさにかまけて忘れてしまう受験生が少なくないだろう。
京大新聞では例年、共テ問題文の出典から数冊をピックアップし、その書評を掲載している。本面をきっかけに出題文を思い出し、受験後にでも読んでみようか、と思ってもらえれば幸いだ。(編集部)
著者は「交換」としての社会科学と「贈与」を対置するバタイユのポスト構造主義的な図式に立脚し、贈与的省察に基づく探究を、社会科学的研究の隙間を埋めるものとして位置づけるにとどめている。以下は評者の私見になるが、美術教育によって訓練される「わかりえない」ものをその多義性を維持したまま探究する態度は、こうした図式にとどまらず、たとえばショート・ナラティブの拡散や、それに伴う思考の分極化・先鋭化といった、さまざまな現代的事象に対置することも可能に思える。「わかりえない」ものを探究する枠組みとして、美術制作や美術教育の可能性に光をあてた好書である。(汐)
公共,倫理第4問では、坂口安吾『堕落論』の一部が引用された。タイトルに「落」と付き、引用文中には「堕ちる」が4度も繰り返されるという、受験生の心を乱す問題。作問者の倫理観を疑いたくもなるが、著者の安吾が前々回の丙午生まれで今年生誕120年を迎えることを踏まえれば、なかなか粋な出題に見えてくる。(梅)
でもこれまでわからなかったことを知る喜び、知的好奇心こそが科学の原動力で す。……役に立つという言葉が独り歩きして、役に立つとは何かを考えず、2、3年で何か応用できて製品になる、というイメージが若者の間にも広がっているように思えます。
注目が集まる領域だけでなく、誰もがまだほとんど関心を示さないことに挑戦するのも、科学の進歩のためには必要です。それには色々なことに挑戦できるような広い裾野が何よりも大切なのです。
紹介文は大学のウェブサイト(セミナー案内など)で紹介いたします
みなさん、手術というのは、スーパースターのような偉大な人がやっていると考えていませんか?実は意外と手先の器用さより、どんなことが起きても対処できるようにする思考回路の方が重要なのです。確かに、ある程度のトレーニングが必要にはなりますが、どのタイミングで手術を行うのか、どこを切るかなどの思考回路を育てていくのが大切です。
一般的に外科医師に求められる能力は、技術や器用さだと思われていますが、本書によれば、外科医に求められるのは、知識をもとにした直感的な判断力とともに、治療全体を見通したうえで、手術をどう行うかという戦略的な思考力です。そのため、考える力のほうが外科医師に必要な力だといいます。
本書は、著者が「戦略・戦術」、「武器」、「技術」などの観点から、手術における魅力や重要性、外科医として必要になる能力について語っています。
医学界での化学技術は日々進化していますが、手術は外科医自らの技術や判断力、体力などを結集させた総合力で行われます。そして、手術の経過においては全体を見通し、安全な手術を行うための外科医の思考過程が最も重要であると著者は述べています。
本書では、「現代の技術が、洗練された医療機器と治療戦略、修練を積んだ外科医の技能、そして患者さんの治癒力で成り立っている」という点を重要な視座として据えながら、これらの要素が相互に補完し合い、手術という医療行為が成立していく過程を体系的に提示しています。
多少専門的な表現も出てきますが、外科医としての視点を現代の技術について一般の人にも伝わるように丁寧に解説しているために、医学部を目指している学生だけでなく、手術のアフターケアに関わる医療関係者はもちろん、これから消化器外科での手術を受ける患者にも読んでほしい一冊です(753文字)。
東日本大震災で最大の犠牲者を出した石巻市は行政や医療機関も機能がマヒし、「石巻医療圏」22万人の命は宮城県災害医療コーディネーターである著者に託された。状況不明の避難所300ヵ所、いつまでも減らない大量の急患数……かつてない巨大災害に、空前の大組織「石巻圏合同救護チーム」を指揮して立ち向かい、地域の医療崩壊を救った一外科医の思考と決断のすべて!(出版社の案内)。

石巻は震災で粉々になりました。震災当時、私は普段の忙しさにかまけて医師になったときの初心を忘れていました。それは「人の役に立ってなんぼ」というものです。医師はその気になれば、人の役に立ちやすい職種なんです。…… 医師は被災地に来ればすぐに役に立ちますし、「よく来てくれた」と言われます。その気になれば、役に立てる。そのような仕事ということは知っていてほしいと、学生にはよく言っています。それから医師とは身分ではなく、職業であり、立場であり、役割です。身分だと思えば選民意識に繋がりかねません。それは危険だし、良くないことです。そういう感覚で患者さんと接していてもいいことはないし、いつかしっぺ返しを食らいますよ。ほかの職業の方々へのリスペクトは大切です。さらに、生涯学習だということですね。医学はずっと進歩していくものです。私も学生の頃は分厚い教科書を一冊、丸暗記したら一丁上がりで、あとは「スター・ウォーズ」のジェダイ・マスターのようになれるのかなと勘違いしていました(笑)。しかし、医学は違います。医学の進歩は早いので、マラソンのように勉強し続けないと置いていかれます。そこで、医学部の1年生には「そういう覚悟を持って頑張ってください」と講義でお伝えしていますし、ここでもお伝えしたいと思います(e-doctor)。
「まあ、診ますか」をするとなると、単純に労働時間が増えますし、働き方改革を進めないといけない昨今ではそれを若手に押しつけると、ブラック職場と言われかねません。 例えば、外科であれば、「まあ、診ますか」で診ても外科ではない疾患のケースもあるし、他科での手術のあとの合併症の場合もあります。そこでセクショナリズムを前面に出し、「他科で作った合併症なんて知らない」と言うことは可能ですし、そのフォローをなるべくしないようにすることも可能です。…… しかしながら、東北大学の総合外科には若手医師が次々に入局しています。忙しいことが好きで、「色々な相談をされたら『まあ、診ますか』だよ」という教育をされることに対して、それを良しとして入局してくる人がいまだに大勢いますし、石巻赤十字病院にしても手術数も増え、忙しい病院になっているにもかかわらず、初期研修のフルマッチが続いているのは頼もしいですね。17時に帰れるような病院を選んで研修する若手医師をクローズアップして「最近の若者は…」と言うのは簡単ですが、忙しく、ストレスフルな環境にあえて飛び込んで、医師としてのスキルを磨きたいという若い人も大勢いますし、そういう病院の方が人気病院だったりもしますので、若い人たちも捨てたものではないなと個人的には思っています(e-doctor)。
全員で一つの紹介文を作成します(一人ずつ紹介文案を作るのではありません)
まとめ方の注意点
〔冒頭の段落〕タイトルのネーミングが良い。内容は周囲に満ち溢(あふ)れる不思議や疑問に「気付く」「観(み)る」「考える」という章立てで進み、自分の答えを「試行する」こと、周囲へ「表現する」ことはいつ何時でも可能だと教えてくれる。各項目も短く、著者が勧めるように日めくりカレンダーのように読み進めるのもいい(リンク)。
例:行政学者の水口は、「何でも説明できるものは何も説明していないのと同じことである」と述べ、森の定義の曖昧さを批判する。
重要
アンケートURLは、参加証を添付するためのメールにも記載します